写真の雨 2

前回の続き

確か、梅雨時期だったかな。蒸し暑い雨の中。

いつも夕日の写真ばかり撮っていたので、少し違うものを撮りたくなった私は長靴と傘を持って外に出た。

傘に落ちる雨粒ってこんなにきらきらしていたっけ。

水たまりの波紋ってこんなにきれいだったっけ。

いろんなものがうるうると素敵に見えた。

もっといろんな人に共有したいなぁ、見てほしいなぁ。とタイムラインに投稿するようになった。

季節の植物、時間によって変わる空の色、たまに友達。

気になったものすべて残していた。

中学校生活が終わる頃、卒業アルバムに友達から寄せ書きをしてもらった。

「いつも写真綺麗やね。」「撮り続けてね。」

何人かの言葉が今でも私の中で生きている。

写真を撮るのに使っていたipod touchはiphoneに変わった。

自分が見たもの、気になったものを残す行いは変わらず、私の中にある。

いろんなもの、ひとに出会い、触れる機会が多くなり、心が動くたびに私の写真の雰囲気も変わっていった。

単純なので、見たもの、聴いたこと全て一度「 私 」の中に入ってくる。

ぱっと明るくなったり、ずんと暗くなったり、

きらっと鮮やかになったり、さわっとくすんだり。

色になって、形になって、見える感情として残していくのが楽しくなった。

もっといろんなもの、人に出会いたい。見てみたい。

原付の免許を取った私は、父からもらったリトルカブで行動範囲を広げた。

続きはまた次回。

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